LEDチップ、LEDアレイ、LED照明、バックライト、ディスプレイなど、ほとんどすべての光源は観察する方向によって明るさが異なります(図1)。
このような光源の全光量を測定するひとつの方法はすべての方向の明るさを測定することです。しかしながら、そのための装置は大変高価でしかも非常に長い測定時間を必要とします。
この問題を解決できるのが積分球です。積分球の内壁は反射率が高く拡散性に優れたコーティングが施されています。 積分球の中心に光源を置くと、光源から放射された光は積分球の内壁に当たり拡散反射します。拡散反射された光は再び積分球の内壁に当たり拡散反射を繰り返します。
積分球内部の拡散反射コーティング材として、ラブスフェア社製品ではスペクトラフレクト、パーマフレクト、スペクトラロン、インフラゴールドの4種類を提供しています。
最も一般的に使われている硫酸バリウムのコーティング材で、コスト的に最も優れています。小型積分球から内径3メートルの大型積分球まで幅広い用途にご利用いただけます。
耐水性の拡散反射コーティング材ですので、洗浄が可能です。スペクトラフレクトとほぼ同じ反射特性を示しますが、特注の積分球・拡散板のみの対応になります。
熱可塑性樹脂の粉末を押し固めてベーキングしたものです。 もともとはNISTによって提唱されたもので、現在では標準反射板としても広く用いられています。 使用可能な波長範囲が広く、さらに耐久性に優れていることが大きな特長です。 欠点は薄すぎると入射光の一部が透過し反射率が低下してしまうこと、スペクトラフレクト(硫酸バリウム)と比較して高価であることです。
梨地に金メッキを施したもので赤外領域での測定に使用されます。 炭酸ガスレーザをモニタする際の減衰器として、あるいはフーリエ変換赤外分光測定などで使用されます。 ただし、拡散性がやや悪いという欠点があります。
積分球の大きさは、測定対象のサンプルサイズによって決めます。被測定物が細長いものであれば長さの1.5~2倍以上、板状のものであれば対角線の2~3倍 以上の直径が必要です。
検出器の大きさを一定として考えると、積分球が大きければ大きい程、光は検出器に到達するまでにより多くの反射を繰り返すことになります。したがって積分球の「光をかき混ぜる」働きから言えば、積分球は大きければ大きいほど良いことになります。しかし、コーティングの反射率が100%ということはありえませんので、反射を繰り返すことによって少しずつ光量は小さくなってしまいます。
もともとの光量に対して積分球から出射される光の割合を「スループット」と言い、概ね積分球直径の二乗に反比例します。つまり、積分球の直径が2倍になれば、スループットは約1/4になります。
SPHシリーズカスタム積分球では、ポート数に応じて位置が決められています。最大で5個までのポートを選ぶことができ、赤道上の0°、90°、180°、270°と北極(NP)がポート位置になります。また、南極位置にはロッド取付ねじがあります。 GPSシリーズスタンダード積分球もポート数に応じて位置が決められていますが、3個ポートと4個ポートの2種類です。
積分球が積分球として機能するためには、光源から放射された光が拡散反射を繰り返すことが必要です。したがって、光源から放射された光が検出器に直接入射することは絶対に避けなければなりません。そのために光源と検出器の間にバッフルを配置します。右図のポートAの位置に検出器を取り付ける場合はセンタバッフルをポートの前に取り付けます。また、光源が中心に置かれた場合も同様です。一方、光源に対して検出器がポートBの位置であった場合はポート間バッフルを取り付けます。バッフルには積分球内壁と同じコーティングが施されていますので、その悪影響は最小限に抑えられます。しかし、無用に多くのバッフルを取り付けると、スループットを低下させてしまうことになりますので注意が必要です。