既知の反射率をもつ標準反射板は測定器・カメラ・ディテクタ等の校正板として数多く利用されています。代表的な標準反射板は2種類に分かれて、下記のイメージのような正反射板と拡散反射板になります。
一方向からの光が別の方向に反射され、光の入射角と反射角は反射面に対して同じ角度になります。
正反射に対して拡散反射は入射光が様々な方向に反射されます。理想的な拡散反射面はランバート反射といい、反射面の輝度がどの角度から見ても均一になり、反射面の光度はランベルトの余弦則に従います。
粗悪な拡散反射板の場合は、下記のように、均一に光が拡散反射せずに正反射も含まれてしまいます。
小サイズの反射板が最も利用されている用途は、物体面の反射率測定を行う際のリファレンス板としてです。反射板には各波長における既知の反射率データが付属されるので、幅広い波長範囲を測定する分光器や分光光度計等の校正に適しています。反射率測定では物体面の反射特性や反射率に近いリファレンス板を使用します。物体面が正反射か拡散反射、高反射か低反射かでリファレンスにする反射板が違ってきます。例えば、低反射率測定の場合は反射率99%(白色板)にカーボン粒子を混ぜた様々な反射率をもつ低反射率板(グレー板)をリファレンスとして使用する場合もあります。また、輝度計の校正では反射面を既知の輝度面として、輝度計の撮像エリアに合わせたサイズの拡散反射板を使用します。
リモートセンシング用にも屋外で使用出来る大型反射板が数多く利用されています。人工衛星やドローンのイメージングセンサ校正用に1メートル角や2メートル角の大型な反射板がターゲットとして現地に設置されています。屋外での使用になるので、反射特性に耐久性があること、塵埃等の汚れを水洗いできること、大面積で均一な反射率をもつことが必須条件になります。
また、近年需要が増えているLiDAR等の車載用センサの校正板としても利用されています。人肌の反射率といわれている18%の反射率をもつコーティング材を人型の模型に塗装を施しての実験も行われています。