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QEPro 高S/Nファイバマルチチャンネル分光器を徹底解説

カタログ/技術資料

オーシャンオプティクス社の冷却式マルチチャンネル分光器QEProは、1台で微弱光から高出力光まで精度の良く測定できる同社のハイエンドモデルです。内部のディテクタを冷却していることで、低ノイズ、高S/N、広ダイナミックレンジ、高い繰り返し精度等の特長を持ち、広い測定範囲求められる研究開発用途や高い再現性が求められる生産工程の検出器として最適なモデルとなっています。製品仕様については、以下のリンク先をご参照下さい。

製品仕様

一般的な非冷却式の分光器との比較データを使用して、QEProの特長を説明していきます。
*比較データをより分かりやすくするため、各分光器のスペクトル補間と平均処理は行っておりません。
*ここでの数値は実測値になり、保証値ではありません。

低ノイズ①

スペクトルに含まれるノイズの多くは、分光器内部のディテクタの暗電流が原因で、ノイズ成分として表示されてしまいます。また、このノイズは分光器の積分時間が長くなるほど大きなノイズとして表示されてしまい、測定結果に影響を与えます。

冷却式QEProマルチチャンネル分光器は、内部のディテクタをマイナス15℃で冷却しているため、この暗電流の発生が少なくなるような設計がされています。

その例として、積分球を使用して、微弱な白色LED(0.015ルーメン)を両モデルの分光器で測定した結果を比較します。

図1 非冷却式分光器 全光束測定

図2 非冷却式分光器 ピーク波長拡大

図3 非冷却式分光器 555nm拡大

図4 QEPro 全光束測定

図5 QEPro ピーク波長拡大

図6 QEPro 555nm拡大

全体のスペクトル形状は両モデルとも一見測定できているように見えますが(図1、図4)、白色LED特有の励起光スペクトルと蛍光スペクトルを拡大すると、非冷却式分光器のスペクトルには、ノイズが多く含まれていることが分かります(図2、図3)。

微弱光を測定するために分光器の積分時間を長くする必要があり、その結果、ノイズがスペクトルに多く含まれてしまい、ピーク波長は安定せず、スペクトルから計算される全光束値にもバラつきが出てしまいます。非冷却式分光器の全光束値のバラつきは0.015lm+/-1%程度です。 この結果に対して冷却式QEPro分光器は内部のディテクタが冷却されていることで、積分時間を長くしても暗電流が少ないため、ノイズ成分が少ないスペクトル(図5、図6)を表示しています。

QEProではピーク波長も安定し、全光束値も0.015lm+/-0.1%程度で非常に安定しています。 微弱光の絶対値を高精度に測定するためには極力ノイズ成分を軽減することが必須になり、低ノイズの特長を持つ冷却式QEProマルチチャンネル分光器は最適です。

低ノイズ②

下記のデータはノイズによる測定誤差の比較を反射率測定で検証した結果となります。 両モデルの分光器とも照射光源はハロゲンを使用し、反射率99%の反射率基準板をリファレンスとして、反射率1.2%のサンプルの測定した反射率のデータです。

図7 非冷却式分光器 反射率測定

図8 QEPro 反射率測定

非冷却式分光器の結果は1.2%を基準とした場合に、測定波長全域でバラつきがあることが見えます(図7)。これに対して冷却式QEPro分光器は非常にフラットで、バラつきの少ない結果になっています(図8)。

600nm付近の反射率では、冷却式QEPro分光器の反射率のバラつきは+/-0.05%程度、非冷却式分光器の反射率は+/-0.3%程度になり、規則性のないノイズの影響で6倍の差があることが分かります。

リファレンスに対して、測定対象の反射率に大きな差があり、さらに測定対象の細かな反射率の差を測定されたい場合には、低ノイズ、高S/Nの特長を持つ冷却式QEPro分光器が適しています。

ダイナミックレンジ

蛍光測定において、高出力の励起光に対して微弱な蛍光を精度よく測定することが重要になります。

下記のデータは蛍光体に励起光(448nm)を照射したときの微弱な蛍光(550nm-750nm)の測定データです。

図9 非冷却式分光器 蛍光測定

図10 非冷却式分光器 励起光ピーク波長拡大

図11 非冷却式分光器 蛍光波長拡大

図12 QEPro 蛍光測定

図13 QEPro 励起光ピーク波長拡大

図14 QEPro 蛍光波長拡大

全体のスペクトル形状は両モデルとも一見測定できているように見えますが(図9、図12)、励起光スペクトルと蛍光スペクトルを拡大すると、非冷却式分光器からのスペクトルには(図10、図11)、特に微弱な蛍光スペクトルには、ノイズが多く含まれていることが分かります。これらのノイズは分光器内部のディテクタからの暗電流によるので、規則性のない強度として表示されてしまいます。この結果、励起光のピーク波長の変動や蛍光強度の積算値に誤差が生じてしまいます。

この結果に対して冷却式QEPro分光器は内部のディテクタが冷却されていることで暗電流が少ないため、ノイズ成分が少ないスペクトルを表示しています(図13、図14)。励起光のピーク波長が安定し、微弱な蛍光スペクトルにもノイズ成分が少なく、非常に安定した積分値を得ることができ、繰り返し精度が高く、精度のある量子効率値を得ることができます。

1台の分光器で高出力の励起光を飽和させることなく、微弱な蛍光を精度よく測定する必要がある場合は、広いダイナミックレンジと低ノイズの特長を持つ冷却式QEProマルチチャンネル分光器が最適です。

繰り返し精度

同条件で同じものを測定した際に、測定値の再現性は非常に重要になります。 この繰り返し精度を検証するために、両モデルの分光器で、同条件のLEDを複数回測定した下記の比較データを検証します。

LEDの全光束値の相対比較データで、LEDを10回点灯させたときの1回目の全光束値を1としています。同条件で測定する必要があるため、LEDは測定後に10分間消灯して再度点灯しています。

図15 非冷却式分光器 全光束相対値比較

図16 QEPro全光束相対値比較

非冷却式分光器は1に対して+/-1%のバラつきがありますが(図15)、冷却式QEPro分光器のバラつきは+/-0%の結果になっています(図16)。一般的な非冷却式分光器は測定周辺温度の変化によって、ベースラインやノイズ成分に影響が出てしまいますが、冷却式QEPro分光器は内部のディテクタを電子冷却しているため、周辺温度の変化に依存しない安定した測定値を出すことができます。

生産工程、特に品質管理や長時間の測定中に、少しの測定結果の差でNG判定になってしまうような場合は、冷却式QEPro分光器の採用で歩留まりの向上につながります。

冷却式QEpro分光器導入実績

  • LED、レーザー、UV LED等の発光測定
  • 量子効率測定
  • アップコンバージョン測定
  • 蛍光測定
  • 配光分布測定
  • ラマン測定
  • 薄膜測定
  • ヘーズ測定
  • 反射・透過測定
  • 拡散反射・透過測定
  • 吸光度測定

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