可視域におけるスペクトルは光スペクトルとも呼ばれ、人間の目で識別できる色(波長)はおおよそ400~700nmです。しかし、人間の目は可視域の全ての波長において同じ感度を持っておらず、通常の照明条件下では555nmの緑色の波長に最も高い感度を持ち、他の波長においては感度が落ちます。
人間の色の識別、説明、再現する能力には大きな個人差があり、これらが人間の光知覚の測定を困難なものにしている原因でもあります。光の測定、そしてその色を再現する方法を開発するには、平均的な人間の視覚を定義するための規格が必要となります。CIE (国際照明委員会) は、光、照明、色の問題に関する国際的な権威を持つ機関です。人間の視覚に関する問題を解決するために、CIEは1931年に数学的に定義された、最初の色度の1つであるCIE XYZを開発しました。
人間の目には短波長側の青、中波長の緑、長波長側の赤にそれぞれ感度を持ちます。そのため、色知覚は青・緑・赤の3つのパラメータを使用して定義する必要があります。この各色を表すために、3つの数値(三刺激値)を割り当てる方法を色空間と呼びます。
1920年代に行われた人間の目の測定実験に基づいて人間の視覚のRGBが定義され、そこからCIE XYZ色空間が作られました。色空間CIE XYZを算出するための一般的な関数は、通常の明るい照明条件下における典型的な人間の目の反応を表す関数である、明所視と呼ばれる関数です。この明所視は一般的に標準観察者とされています。また、色覚の存在しない暗い状況下における人間の目の反応は暗所視と呼ばれます。そして、薄明視は薄暗い環境下における人間の反応を表し、明所視と暗所視野を組み合わせたものとなります。
これらの標準観察者に基づいた色空間が開発されたことで、現在は測光と呼ばれる測定方法にて、標準観察者と同じ感度を持つ測定器を使用して、光の知覚的な明るさを定量化することができるようになりました。測光という測定方法は、作業、街路、安全、自動車、航空宇宙などの照明の明るさを規定、監視、制御するために、多くの業界で使用されています。
色空間CIE XYZは光の色しか表すことができず、物体の色まで表すことはできません。人間の知覚する物体の色は、物体そのもの表面の色や特性だけでなく、環境光や物体に照射される光など、様々な要因によって決まるためです。しかし、色空間CIE XYZは、色の測定や再現における測光の基礎として使われています。この画期的な研究のおかげで、デジタルおよびアナログにおけるメディアの色を再現するために、多くの色に関する規格、測定技術、そして測定機器が開発されました。
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